【2025年最新】ドバイ現地法人設立の流れを解説

投稿:2025年11月26日更新:2025年11月26日未分類

ドバイで事業を始めたい経営者や起業家にとって、現地法人の設立は最初の大きなステップとなります。税制面での優遇措置や戦略的な地理的立地により、ドバイは中東のビジネスハブとして多くの日本企業が進出しています。しかし2023年6月から法人税制度が導入されたことで、法人税登録や法人税申告義務が厳格化されており、適切な手続きを踏まなければ罰金のリスクもあります。本記事では、2025年最新の情報をもとに、ドバイでの現地法人設立の流れを実務的な視点から解説します。

ドバイのビジネス地区のスカイライン

✅ フリーゾーン法人とメインランド法人の選択

ドバイで法人を設立する際、まず決めなければならないのがフリーゾーン法人メインランド法人のどちらを選ぶかという点です。

フリーゾーン法人は100%外資出資が可能で、設立手続きが比較的簡素化されています。輸入関税の免除などのメリットがある一方、UAE本土での直接取引には制限があります。一方メインランド法人は、UAE全域で事業活動が可能で、政府系案件への入札参加もできます。多くの業種で外国人100%出資が可能になったため、以前ほど現地パートナーを必要としなくなりました。

項目 フリーゾーン法人 メインランド法人
外資出資比率 100%可能 100%可能(多くの業種で)
UAE本土での取引 制限あり 制限なし
法人税率 条件次第で0%または9% 9%(課税所得375,000AED以下は0%)
設立手続き 比較的簡素 やや複雑
オフィス要件 フレキシデスク可 物理オフィス必須
初期費用 150万円~250万円 200~220万円

税務面では、フリーゾーン法人でも一定の条件を満たさない限り法人税9%が適用されるケースが多く、日本人が運営する事業では免税条件を満たすことが困難な場合もあります。メインランド法人は法人税9%が適用されますが、課税所得が375,000AED(約1,500万円)以下であれば税率0%となります。

✅ 法人設立の具体的な流れ

ドバイでの法人設立は、以下のステップで進めていきます。

ドバイのビジネスセットアップオフィス

1事業形態と所在地を選択

フリーゾーンかメインランドか、そしてフリーゾーンの場合はどのフリーゾーンにするかを決定します。DMCC、DIFC、ジュベル・アリ、ラアス・アル・ハイマなど、フリーゾーンによって設立費用や維持費用が大きく異なります。

2会社名の登録

宗教的・政治的に問題のない名称であることを確認し、経済開発局(DED)または関連フリーゾーン当局に申請します。この手続きには通常3~5営業日かかります。

3初期承認(Initial Approval)の取得

事業計画書、パスポートコピー、株主や役員の情報などを提出し、当局からの承認を得ます。この段階では事業活動はまだ開始できませんが、次のステップに進むための重要な手続きです。

4定款(Memorandum of Association)の作成と公証

定款はアラビア語で作成する必要があり、会社の目的、資本構成、株主の責任などが明記されます。公証手続きには公証人の前で全株主が署名する必要があり、公証費用は1,500~5,000AED程度かかります。

5オフィススペースの確保

メインランド法人の場合は物理的なオフィスが必要ですが、フリーゾーン法人の場合はフレキシデスクやバーチャルオフィスでも可能な場合があります。オフィス賃貸契約書(Ejari証明書)は、ライセンス取得に必要な書類となります。

6貿易ライセンスの取得

必要書類を揃えて当局に提出し、審査を経て貿易ライセンスが発行されます。ライセンスの種類には商業ライセンス、工業ライセンス、専門職ライセンスなどがあり、事業内容に応じて選択します。

✅ 必要書類と準備事項

法人設立には様々な書類が必要です。

基本的な必要書類

重要: 日本から書類を持ち込む場合、アポスティーユ認証が必要になるケースもあります。日本の外務省による証明書を取得し、UAE側でも認証手続きを行う必要があります。この手続きには2~3週間程度かかることが多いため、余裕を持って準備することが重要です。

法人設立時には最低資本金の設定も必要です。フリーゾーンによって異なりますが、DMCCでは1株主あたり10,000AED、会社全体で最低50,000AEDの資本金が必要です。一般貿易ライセンスを取得する場合は最低100万AEDの資本金が求められます。

✅ 設立後の重要な手続き

法人設立後にも重要な手続きが待っています。

エミレーツIDのバイオメトリクス登録

1. 法人税登録

2023年6月から施行された法人税法により、全ての法人はライセンス発行日から3か月以内に法人税登録を行う必要があります。登録を怠った場合、10,000AED(約42万円)の罰金が課されます。法人税登録はEmaraTaxポータルを通じてオンラインで行います。

2. 銀行口座の開設

銀行口座開設には以下の書類が必要です。

銀行によっては最低預金額が25,000~500,000AEDと幅があるため、事前に確認することが重要です。

3. レジデンスビザとエミレーツIDの取得

会社設立後、入国許可証を申請し、UAEに入国後に健康診断を受け、バイオメトリクス(指紋認証)登録を行います。エミレーツIDの発行には通常7~10営業日かかります。

手続き 必要期間 主な要件
法人税登録 ライセンス発行後3か月以内 EmaraTaxポータルでオンライン登録
銀行口座開設 1~2週間 トレードライセンス、定款、エミレーツID等
レジデンスビザ申請 2~3週間 入国許可証、健康診断、バイオメトリクス登録
エミレーツID発行 7~10営業日 バイオメトリクス登録完了後

✅ 費用と期間の目安

ドバイでの法人設立には一定の費用と時間がかかります。

フリーゾーン法人の費用

費用項目 金額
初期設立費用 120万円~200万円
年間維持費用 60万円~120万円
ビザ申請料(1人あたり) 3,000~8,000AED
エミレーツID発行費用 別途必要
健康診断費用 別途必要

メインランド法人の費用

費用項目 金額
初期設立費用 200万円~220万円
オフィス賃料(年間) 5,000AED~
政府登録費用(申請料) 1,035AED
政府登録費用(登録料) 9,020AED
定款作成費用 2,020AED

設立期間の目安

VAT登録について: 年間売上が375,000AED(約1,500万円)を超える場合はVAT登録と申告が必要です。ただし売上が100%海外向けの場合は免除申請ができます。免除申請を行わない場合は罰金の対象となるため注意が必要です。

✅ まとめ

ドバイでの現地法人設立は、フリーゾーンかメインランドかの選択から始まり、会社名登録、初期承認、定款作成、オフィス確保、ライセンス取得という流れで進みます。設立後も法人税登録、銀行口座開設、ビザ取得など重要な手続きが続きます。

2023年6月から法人税制度が導入され、法人税登録や申告義務が厳格化されています。期限内に登録しない場合は10,000AEDの罰金が課されるため、設立時から適切な税務対応を行うことが重要です。費用は選択する法人形態やフリーゾーンによって大きく異なりますが、初期費用として数十万円から数百万円、期間として2~3か月程度を見込む必要があります。

ドバイでの法人設立を検討されている方は、税務や法務の専門家に相談しながら、自社のビジネスモデルに最適な形態を選択し、必要な手続きを漏れなく進めることをお勧めします。当会計事務所では、ドバイ法人設立から税務申告、ビザ取得まで一貫したサポートを提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 このブログを書いた人

税理士・公認会計士(日本・UAE)。ドバイ在住。日本とドバイで会計事務所を経営しています。税務顧問や会計監査、ドバイへの移住支援を行っています。

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