ドバイ在住の日本人公認会計士・岡本信吾です。
ドバイ法人を保有する日本居住者・内国法人グループから当事務所にお寄せいただくご相談のうち、ここ数年で急増しているのが「ドバイ法人で受け取る役員報酬をいくらに設定すればよいか」というテーマです。
UAE法人税の登場により、ドバイ法人側でも役員報酬は損金算入の対象になりました。一方で日本側では、日本居住の役員に対してドバイ法人から支払われる役員報酬がCFC合算課税の場面で「不相当に高額な部分」として否認されるリスクがあり、両国の制度を踏まえた設計が求められます。
ここで実務上の悩みとなるのが、「いくらまでなら適正なのか」という具体的な金額基準が、日本側にもUAE側にも法令上明示されていないという点です。UAE側では、関連者間取引としての役員報酬はアームス・レングス原則に基づく適正な金額であることが求められているものの、具体的な閾値や算定方法は明示されていません。これは日本の法人税法34条が「不相当に高額な部分の金額」という抽象的な要件のみを定め、具体的な上限金額を法令で示していない構造と同様です。
つまり、日本とUAEのいずれにおいても、実際に適正と認められる金額は個別事案ごとの事実関係を総合勘案して事後的に判定される構造となっており、設計時には「説明可能な水準に収める」という予防的アプローチが求められます。その「説明可能な水準」を考えるうえで、裁判所がどのような要素を重視して適正を判定しているのかを知ることが、設計実務の出発点となります。
そこで本記事では、近時の重要裁判例である京醍醐味噌事件(令和6年1月18日東京高裁控訴棄却)の判断枠組みを整理したうえで、ドバイ法人の役員報酬設計に当てはめた場合の具体的な指針を解説してまいります。本件は、味噌等の製造販売を業とする内国法人が役員3名に対して支給した役員給与のうち多額が「不相当に高額」として損金不算入とされ、多額の追徴課税が行われた事案です。
1. 役員報酬過大の規制枠組み
役員報酬過大の議論に入る前に、日本の法人税法における役員給与の規制枠組みを整理しておきます。
日本の法人税法では、役員に対して支給する給与のうち、次の3類型のいずれかに該当するものに限り損金算入が認められています(リーズ法律事務所)。
| 区分 | 内容 |
| ① 定期同額給与 | 支給時期が1か月以下の一定期間ごとで、各支給時期における支給額が同額である給与 |
| ② 事前確定届出給与 | 所定の時期に確定額を支給する旨を事前に税務署に届け出た給与 |
| ③ 業績連動給与 | 利益指標等を基礎として算定される一定の要件を満たす給与(同族会社等を除く) |
そのうえで、上記3類型に該当する給与であっても、法人税法34条2項により「不相当に高額な部分の金額」については損金算入が認められません。この判定には、形式基準と実質基準の2つがあります(アスカ会計)。
| 区分 | 内容 |
| 形式基準 | 定款の定めや株主総会の決議で定められた限度額を超えて支給された部分は損金算入不可(施行令70条1号ロ) |
| 実質基準 | 役員の職務内容、収益状況、同種・類似規模法人の支給状況等に照らして相当と認められる金額を超える部分は損金算入不可(施行令70条1号イ) |
京醍醐味噌事件で争われたのは、このうち実質基準です。本基準の解釈をめぐっては、明治学院大学法学部・渡辺充教授によるブラッシュアップ判例・裁決例 役員給与の損金不算入—京醍醐味噌事件—(税理 2023.10)でも詳細に論じられています。
2. 京醍醐味噌事件の事案
東京高裁が令和6年1月18日に控訴を棄却し、その後上告も不受理として確定した京醍醐味噌事件の事案を概観します。
当事者
| 項目 | 内容 |
| 原告 | 京都市山科区に本店を置く有限会社(味噌等の製造販売業) |
| 主な取扱商品 | 冷凍食品、インスタント食品、味噌、瓶詰・缶詰、天かす |
| 役員 | 甲、乙、丙の3名(兄弟) |
| 取引先 | 売上の100パーセントを兄弟が関係する別法人B社向け |
役員給与の推移
役員3名に対する給与は、極めて急速な増額が行われました。
| 事業年度 | 役員給与合計 | 売上高 | 売上総利益 |
| 平成24年9月期 | 8,300万円 | 約10.5億円 | 基準 |
| 平成25年9月期 | 2億3,900万円 | 減少 | 減少 |
| 平成27年9月期 | 約2億円 | 減少継続 | 減少継続 |
| 平成28年9月期 | 16億円 | 約6.5億円(平成24年比約62%) | 平成24年比約42% |
特に異常だったのが、平成27年10月から社長甲が月額5,000万円、平成27年12月から弟乙が月額2億5,000万円という水準で役員報酬の支給を開始した点です。乙への月額2億5,000万円は、ベトナム新規事業に専念させるためという名目でした。
国税当局の処分
国税当局は税務調査の結果、対象事業年度(平成25年9月期から平成28年12月期まで)の役員報酬約22億7,800万円のうち約19億2,700万円を「不相当に高額」と認定し、法人税約3億8,500万円の更正処分を行いました。
国税当局が採用した適正役員給与額の算定方法は、次の3要素比率基準でした(global-tax.jp 不相当に高額な役員給与の額の判定)。
適正役員給与額 = A ×(b/B + c/C + d/D)× 1/3
ここでAは類似法人の役員給与最高額の平均額、B・C・Dはそれぞれ類似法人の平均売上高、平均改定営業利益、平均個人換算所得、b・c・dは原告のそれぞれ対応する数値です。なお同解説によれば、課税庁が収集した比較対象類似法人の役員給与額データの最高額が約936万円、平均額が約845万円であったのに対し、この3要素比率基準により算定された適正役員給与額は約1億5,867万円と、約17〜19倍の階差が生じていた点も特徴的です。
3. 東京高裁が示した判断枠組み
東京高裁は地裁判決を維持して棄却しました。判決の骨格を整理します。
同業類似法人の抽出基準
裁判所は、原告の事業を日本標準産業分類上の「卸売業」と認定しました。原告は自社をファブレス食品製造業と主張しましたが、有体的商品を購入して販売する事業所は卸売業に該当するとの判断です。
そのうえで、同業類似法人の抽出にあたって売上高倍半基準(売上金額が原告の売上金額の2分の1から2倍までの範囲にある法人を抽出する基準)を採用したことを合理的と認めました。理由として、売上金額は事業規模を表象する蓋然性の高い経済指標であり、施行令70条1号イの文言に沿った基準であり、課税庁内部の取扱いを統一化・客観化することができる点を挙げています。
一方、原告が主張した「売上高経常利益率」「自己資本比率」を抽出基準とすべきとの主張は、これらは「事業規模」を示す指標ではないとして退けられました。
収益状況との対比
裁判所が「不相当に高額」と判断するうえで決定的に重視したのは、原告の収益状況と役員給与の額・増加率の対比でした。具体的には、次の点が指摘されています(Westlaw Japan 過大役員給与における実質基準の適用上の課題)。
| 観点 | 内容 |
| 売上高の減少 | 平成24年9月期から平成28年9月期にかけて約0.62倍まで減少 |
| 売上総利益の減少 | 同期間で約0.42倍まで減少 |
| 改定営業利益の急減 | 平成28年9月期は平成24年9月期の約0.1倍 |
| 経常利益の継続赤字 | 本件各対象事業年度で多額の損失を計上 |
| 役員給与の急増 | 平成24年8,300万円 → 平成25年2億3,900万円(約2.9倍)→ 平成28年16億円 |
| 売上総利益との関係 | 役員給与が各事業年度の売上総利益を上回る |
| 純資産の状況 | 平成28年9月期末で約4億6,000万円。翌期も同水準なら早期に債務超過の懸念 |
裁判所は、これらの事情を総合して「本件各役員給与の額の高さ及び増加率は著しく不自然」と判断しました。
個別役員の職務との対比
弟乙への月額2億5,000万円については、平成27年12月から平成28年3月までの間、実際にはベトナムに赴任しておらず、ベトナム新規事業による収益も生じていなかったことが認定されました。
裁判所は、「たとえ乙が有能な人材であったとしても、月額2億5,000万円もの給与の支給を決定し、それを見直しもしないまま4か月間にわたって続けることは、企業の意思決定としておよそ合理的なものとはいい難い」と判示しました。
これは、役員報酬が「実際に行われた職務の対価」として支給されているか、その水準が職務の内容に見合うかが、極めて重要な判定要素であることを示しています。
退けられた納税者側の主張
納税者側が主張した次の論点はいずれも退けられました。
- 中長期的な業績を考慮すべき → 範囲選択の恣意性を排除できないため不採用
- 役員給与額決定時の予算計画値を考慮すべき → 任意作成のため恣意性排除不能で不採用
- C社株式の売却益(特別利益)を考慮すべき → 基本的収益力を示さないため不採用
- 比較対象地域を全国・海外まで広げるべき → 近畿地方とした処分は合理的
- 加重平均法を採用すべき → 課税庁の算定方法を合理的と判断
4. 残波事件との対比で見る判断基準の違い
過大役員給与の代表的な先行判例である残波事件(東京地裁平成28年4月22日、東京高裁平成29年2月23日、最高裁平成30年1月25日上告不受理)では、課税庁が主張した類似法人の役員給与「最高額の平均額」ではなく、「最高額」を超える部分を不相当に高額な部分とする判断が示されました(MJS税経 役員給与の不相当に高額な部分の金額の算定について)。
これに対し京醍醐味噌事件では、課税庁が3要素比率基準を用いて算定した適正役員給与額(類似法人の最高額の平均額に偏差調整を加えたもの)を裁判所が支持しており、事案の特性に応じて算定方法が異なる点が注目されています。
5. 京醍醐味噌事件から導かれる実務上の判断軸
判決から導かれる役員報酬過大判定の実務上の判断軸を整理します。
| 判定軸 | 内容 |
| ① 事業分類 | 日本標準産業分類等の客観的基準で分類された業種に基づき類似法人を抽出 |
| ② 事業規模 | 売上高倍半基準(売上金額の2分の1から2倍)で類似法人を絞り込み |
| ③ 役員給与水準 | 類似法人の役員給与最高額の平均額(または3要素比率調整後の額)が一つの目安 |
| ④ 収益との対比 | 売上高・売上総利益・営業利益との対比で水準・増加率が不自然でないか |
| ⑤ 職務との対比 | 実際の職務内容、勤務実態、職務成果と役員報酬水準の整合性 |
| ⑥ 増額の合理性 | 急増があった場合、その背景に合理的説明があるか |
これらの判断軸は、内国法人だけでなく、ドバイ法人を保有する内国法人がCFC合算課税の場面で役員報酬の妥当性を問われる場合にも、実質的に同様の枠組みで適用されることになります。
6. ドバイ法人の役員報酬への適用指針
ここからが本記事の核心です。京醍醐味噌事件の判断枠組みを、ドバイ法人を保有する内国法人グループに当てはめた場合の実務指針を解説します。
なぜドバイ法人の役員報酬で過大認定が問題になるのか
ドバイ法人を保有する内国法人グループで役員報酬過大が問題となる典型シナリオは、次の2パターンです。
パターン1 CFC合算課税回避目的での所得圧縮
ドバイ法人がCFC合算課税の対象となる場合(経済活動基準を満たせない場合等)、内国法人グループはドバイ法人の課税所得を圧縮するインセンティブを持ちます。日本居住の役員にドバイ法人から多額の役員報酬を支払えば、ドバイ法人の所得は減少し、結果として日本親会社への合算額も減少します。
この場合、役員報酬がドバイ法人の収益状況や役員の職務内容に照らして不相当に高額であれば、税務当局はその超過部分を否認し、合算所得を再計算する可能性があります。
パターン2 ドバイ法人税の節税目的での所得圧縮
CFC合算課税を回避できているケースでも、UAE法人税9パーセント(QFZP非適用部分)の節税を目的として、日本居住者を含む役員に多額の役員報酬を支払うケースがあります。
この場合、UAE側の税務当局による否認リスクとは別に、日本居住の役員に支払われた役員報酬が移転価格税制や経済活動基準の判定との関係で問題となる可能性があります。
ポイント1 同業類似法人の比較対象を意識する
京醍醐味噌事件で裁判所が採用した基準では、売上高倍半基準を満たす同業類似法人の役員給与水準が中核的な比較対象となりました。
ドバイ法人の場合、UAE国内の類似法人データが日本の税務当局にとって入手困難なため、実務上は日本国内の同業類似法人の役員給与水準が比較対象となる可能性が高いと考えられます。
そのため、ドバイ法人の役員報酬を設計する際は、「日本国内で同業・売上高倍半基準を満たす中小法人の役員給与水準として通常想定される金額」を意識し、これを大幅に超える水準は説明根拠を明確にしておく必要があります。
ご参考までに、日本の中小企業の役員給与の中央値は、税務通信や民間調査等によると業種・売上規模により幅がありますが、年商10億円規模の中小法人の代表取締役の場合、概ね2,000万円から5,000万円程度の範囲に収まることが多いとされています。これを大きく上回る水準には合理的説明が必要です。
ポイント2 ドバイ法人の収益状況との対比を常に確認する
京醍醐味噌事件で最も決定的だったのは、役員給与が売上総利益を上回る水準にあったことです。
ドバイ法人の役員報酬を設計する際は、次の関係を常に確認する必要があります。
- 役員報酬総額が売上総利益を下回ること
- 役員報酬を支払った後でも営業利益が黒字となること
- 役員報酬を支払うことで純資産が著しく毀損されないこと
特にドバイ法人を節税スキームのビークルとして利用する場合、現地での収益がほとんどない、あるいは赤字であるにもかかわらず多額の役員報酬を支払う設計は、京醍醐味噌事件の枠組みからすれば極めて危険な構造です。
ポイント3 役員の実際の職務内容と勤務実態を整える
弟乙への月額2億5,000万円について、裁判所は「実際にベトナムに赴任しておらず、新規事業による収益も生じていない」ことを決定的な事実として指摘しました。
ドバイ法人の役員報酬についても、次の点を継続的に整えておく必要があります。
| 整備項目 | 内容 |
| 出張・滞在記録 | 役員のドバイ滞在記録(フライト記録、ホテル領収書、入出国スタンプ) |
| 業務報告 | 月次・四半期ごとの業務報告書をドバイ法人に提出 |
| 取締役会議事録 | 取締役会での発言・決議内容を明記 |
| 契約書・指示文書 | 役員が現地で締結した契約、発出した業務指示の記録 |
| 成果物 | 事業計画書、マーケティング戦略書など役員が作成した成果物 |
特にドバイ居住者でない兼任役員については、ドバイ法人での職務をどのように遂行しているかを記録として残しておくことが、報酬の妥当性を裏付ける重要な証跡となります。
ポイント4 急激な増額には合理的説明を用意する
京醍醐味噌事件では、平成24年9月期から平成25年9月期にかけて役員給与が約2.9倍に増加した点、その後平成28年9月期にかけて約8倍に増加した点が、不自然な増加として指摘されました。
ドバイ法人の役員報酬を増額する場合、その背景となる次のような合理的説明を用意しておく必要があります。
- 役員の職務範囲の拡大(事業統括地域の拡大、新規事業の責任者就任など)
- ドバイ法人の事業規模・収益の拡大に応じた水準調整
- 同業類似法人の役員給与水準との乖離縮小
- 他の役員退任に伴う職務の集約
これらの背景を取締役会議事録、株主総会議事録、職務記述書(Job Description)等の書面に残しておくことで、急増があっても合理的な意思決定であった旨を立証できます。
ポイント5 中長期的業績や予算計画値に過度に依存しない
京醍醐味噌事件では、納税者側が「中長期的業績を考慮すべき」「予算計画値を考慮すべき」と主張しましたが、いずれも裁判所により退けられました。
ドバイ法人の役員報酬の説明として、「将来の事業拡大を見込んだ報酬水準である」「中長期的な投資回収を前提とした報酬である」という説明だけでは、裁判所では認められない可能性が高い点を理解しておく必要があります。
ドバイ法人の役員報酬は、当該事業年度の実際の収益状況と役員の実際の職務に対する対価として説明できる水準に抑えることが、リスク管理上の基本原則となります。
ポイント6 株主総会決議による限度額設定を行う
形式基準の充足という観点からも、ドバイ法人の定款または株主総会決議で、役員給与の限度額または算定方法を明文化しておくことが推奨されます。
京醍醐味噌事件では、「原告は、定款の規定及び株主(社員)総会の決議により役員に対する給与として支給することができる金銭の額の限度額若しくは算定方法又は金銭以外の資産の内容等を定めていなかった」ことが事実関係として明記されていました。
ドバイ法人においても、株主総会で年間の役員報酬限度額を決議し、議事録として保管する運用は、形式基準と実質基準の双方に対する備えとなります。
7. ドバイ法人役員報酬の適正水準チェックリスト
ドバイ法人の役員報酬設計にあたって、確認すべき項目を整理しました。
| 区分 | チェック項目 |
| 業種比較 | 日本国内の同業類似法人の役員給与水準を把握している |
| 規模比較 | 売上高倍半基準を満たす類似法人の役員給与最高額の平均額を把握している |
| 収益対比 | 役員報酬総額がドバイ法人の売上総利益を下回っている |
| 営業利益 | 役員報酬支払後も営業利益が黒字となっている |
| 純資産 | 役員報酬支払いにより純資産が著しく毀損されない |
| 職務実態 | 各役員の実際の職務内容と勤務実態が記録されている |
| 出張記録 | 兼任役員のドバイ滞在記録が継続的に保存されている |
| 業務報告 | 役員から法人への定期的な業務報告書が存在する |
| 増額根拠 | 増額があった場合、合理的な背景が議事録等に記載されている |
| 株主総会決議 | 役員報酬限度額または算定方法が株主総会で決議されている |
| 議事録 | 役員報酬決定に関する取締役会・株主総会の議事録が保管されている |
| 移転価格 | 関連者間取引としての側面からも妥当性を確認している |
これらのチェック項目を継続的に整備し、書面の証跡として残しておくことで、日本側の税務調査の際にも、UAE側の税務調査の際にも、役員報酬の妥当性を立証する備えとなります。
まとめ
📋 本記事のポイント
- 京醍醐味噌事件で東京高裁が示した判断枠組みは「事業規模・業種が類似する法人の役員給与水準」「収益状況」「実際の職務内容と勤務実態」の総合勘案
- 売上高倍半基準(売上の1/2〜2倍)で類似法人を抽出し、3要素比率基準で適正額を算定
- 役員給与が売上総利益を上回る水準は極めて危険
- 急増には合理的説明(職務拡大・他役員退任等)を議事録に残す必要
- 中長期的業績や予算計画値による説明は退けられた
- 形式基準充足のため株主総会決議による限度額設定が推奨
- ドバイ法人でも同様の枠組みでCFC合算課税・移転価格の場面で適用される可能性が高い
京醍醐味噌事件で東京高裁が示した役員報酬過大の判断枠組みは、「事業規模・業種が類似する法人の役員給与水準」「当該法人の収益状況」「役員の実際の職務内容と勤務実態」を総合的に勘案して、不相当に高額な部分があるか否かを判定するというものです。ドバイ法人を保有する内国法人グループにおいては、この枠組みが直接的に、あるいは類推的に適用される場面が今後増えていくと予想されます。
ドバイ法人の役員報酬設計は、日本側のCFC合算課税・移転価格税制・所得税課税と、UAE側の法人税・経済実体要件等が複雑に絡み合うため、画一的な「適正水準」が存在するわけではありません。具体的な設計・対応方針について個別にご検討されたい場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。
【根拠法令・出典】
- 法人税法第34条(役員給与の損金不算入)
- 法人税法施行令第70条(過大な役員給与の額)
- 京醍醐味噌事件:東京地裁令和3年5月23日判決、東京高裁令和6年1月18日判決(控訴棄却・確定)
- 残波事件:東京地裁平成28年4月22日判決、東京高裁平成29年2月23日判決、最高裁平成30年1月25日決定(上告不受理)
- 渡辺充「ブラッシュアップ判例・裁決例 役員給与の損金不算入——京醍醐味噌事件——」税理 2023年10月号
- MJS税経 役員給与の不相当に高額な部分の金額の算定について
