ドバイ移住後の医療保険の選び方|年額320AEDから始まる法定加入義務とInsurance Marketでの比較購入手順

投稿:2025年11月29日更新:2026年5月27日ブログ

ドバイへの移住を検討されている方や実際に移住された方の中で、医療保険について具体的にどのように選べば良いのか、疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。本記事では、ドバイでの医療保険選択の実務的なポイントと法的要件、そしてその運用実態についてドバイ在住3年目の会計士が解説していきたいと思います。

医療保険加入は法的に必須

ドバイでは2014年1月1日から医療保険の加入が法的に義務付けられています。これはドバイ保健局(DHA:Dubai Health Authority)によって施行された医療保険法(2013年第11号法、Law No. 11 of 2013)に基づくもので、ドバイに居住するすべてのUAE国民および駐在員、さらには彼らの扶養家族にも加入義務が適用されます。

加入義務違反に対しては相応の罰金制度が定められており、未加入期間については月額500AEDの罰金が課されることになっています。この罰金はビザの更新や取消時に累積されて請求される仕組みになっており、決して軽視できない制度になっています。法律本文(第23条)では罰金は1件あたり最低500AED、最高150,000AEDとされ、1年以内に同一違反を繰り返した場合は倍額(ただし合計500,000AEDを超えない)と規定されています。

また、2025年1月1日からは統一された基本医療保険制度がUAE全体(特にシャールジャ、アジマン、ウンム・アル・カイワイン、ラアス・アル・ハイマ、フジャイラの北方首長国)に導入されました。これにより、ビザの発行・更新時に医療保険の加入状況が自動的にチェックされるシステムが構築され、保険と移民局のシステムがリアルタイムで連携するようになっています。

根拠条文:Law No. 11 of 2013 Concerning Health Insurance in the Emirate of Dubai 第4条(適用範囲)、第8条(加入義務)、第23条(罰則)

法定要件を満たす最も安価な保険の選択肢

Essential Benefits Plan(EBP)

ドバイの医療保険には複数の選択肢がありますが、法定最低要件を満たす最も安価な保険はEssential Benefits Plan(以下、EBP)です。EBPは月額収入が4,000AED未満の労働者およびその扶養家族向けの基本的な医療保険プランで、年間保険料は500~700AED程度で加入できます。EBPの主な保障内容は以下の通りです。

保障項目 内容
年間上限 150,000AED
入院治療 20%の自己負担(1回500AED、年間1,000AED上限)
外来治療 25%の自己負担(1回100AED上限)
医薬品 30%の自己負担(年間1,500AED上限)
対象地域 ドバイ内(救急車はUAE全域)

2025年新導入の基本医療保険プラン

2025年1月1日以降はさらに安価な選択肢が登場しました。年額320AEDという極めて安価な基本医療保険パッケージで、対象年齢は1~64歳です。この保険は2年間有効で、ビザが取り消された場合は2年目の保険料が返金される仕組みになっています。本来は北方首長国の民間部門従業員および家事労働者向けに導入された制度ですが、Dubai Insuranceや認定保険会社、Insurance Poolウェブサイトを通じて全UAEで購入可能です。このプランの特徴は以下の通りです。

項目 内容
年間保険料 320AED(2年有効、ICP手数料等別途)
対象年齢 1~64歳(65歳以上は健康申告書と医療レポート提出)
入院治療 20%自己負担(最大500AED/回、年間1,000AED上限)
外来治療 25%自己負担(最大100AED/回、7日以内の同一傷病再診は自己負担なし)
医薬品 30%自己負担(年間1,500AED上限)
ネットワーク 7つの病院、46のクリニック、45の薬局
待機期間 慢性疾患についても待機期間なし

保険選択時の実務上のポイント

ネットワーク病院の確認

安価な保険は存在しますが、保険はその安さだけでは判断できません。選択する医療保険がどの病院やクリニックと提携しているかを事前に確認することが極めて重要です。

基本的なEBPであっても、都市部の複数の医療機関と提携していることがほとんどですが、利用予定の病院が対象外となる可能性もあります。自分または家族の健康状況や通勤・通学場所から近い医療機関が対象に含まれているかどうかを必ず確認しましょう。

扶養家族に対する保障

従業員本人の医療保険のみならず、配偶者やお子さんなどの扶養家族についても医療保険加入が必須です。雇用主が従業員本人のみに保険を提供している場合、従業員自身が扶養家族の保険に加入する責任を負うことになります。特に家族全体での保障を確保する場合、保険料が大幅に増加する可能性があるため、事前に見積もりを取得して予算計画を立てることが重要です。扶養家族が未加入の場合、スポンサー(通常は世帯主)に対して未加入1人につき月額500AEDの罰金が課されます。

「医療保険に加入していなくても問題ない」は本当か

制度上の仕組みと実態のギャップ

ここで注目すべき点として、法的には医療保険加入が必須であるにもかかわらず、実務上は保険に加入していなくてもビザが更新できているという現象が存在することです。この現象が生じる背景には、いくつかの要因が考えられます。

第一に、2024年までの間は、移民局(GDRFA)と保健局の情報連携システムが完全に統合されていなかった時期があります。ビザ更新時に保険加入状況が厳密にチェックされていなかったため、未加入のままですり抜けることができた方も多くいました。

第二に、フリーゾーンの企業に対する取扱いに曖昧性がありました。フリーゾーン内の企業も医療保険加入義務の対象とされていますが、実際の取り扱いが厳密でなかったケースが存在します。

2025年以降の厳格化

2025年1月1日からは、この状況が大きく変わりました。新しい統一医療保険制度の導入に伴い、保険加入状況が移民局(MOHRE)、ICP、GDRFAのシステムにリアルタイムで同期されるようになったからです。

具体的には、医療保険証券が保険会社から統一医療保険ゲートウェイに登録されると、ビザ発行・更新時に移民局のシステムが自動的にこれを確認するようになりました。保険がない場合、またはアクティブでない場合、ビザの発行・更新は自動的にシステムでブロックされるようになっています。

2025年以降の実務リスク

  • ビザ発給・更新が保険加入状況に基づき自動でブロックされる
  • 未加入期間に応じた罰金(月額500AED/人)が累積される
  • 家族全員(配偶者・子・家事使用人を含む)の保険加入が必須
  • 1年以内の再違反は罰金倍額(最大500,000AED)

オーナー社長向けの医療保険の選び方

保険比較サイト「Insurance Market」を使う

Insurance Market(insurancemarket.ae)は、ドバイで最も利用されている保険比較プラットフォームの一つで、個人向けの医療保険加入に特に有効です。

一人会社の経営者が医療保険を選ぶ際に、Insurance Marketを活用することで、複数の保険会社から同時に見積もりを取得し、比較検討することができます。同プラットフォームは40社以上の保険会社と提携しており、DHA認可の主要な保険会社すべてをカバーしています。

Insurance Market での加入手順

Insurance Marketで医療保険に加入する際の基本的な流れは以下の通りです。

ステップ 内容
1. フォーム入力 Insurance Marketのウェブサイトにアクセスし、簡単な入力フォームに記入する
2. 詳細情報の指定 希望する保険の種類(個人・ファミリー)、希望病院、追加保障(歯科・眼科等)を指定する
3. 比較見積もりの受領 登録後、数時間以内に専属顧問から複数社の見積もり比較表がメールで送付される
4. 詳細の確認 見積もり表で各保険プランの保障内容を詳細に確認する
5. 保険の選択と購入 自分のニーズに合うプランを選択し、クレジットカードまたは銀行振込で保険料を支払う
6. 書類のアップロード パスポート、ビザ、UAE ID等の必要書類をアップロードする
7. 保険証券の受領 通常48時間以内に保険会社からeCardが発行され、統一医療保険ゲートウェイに自動登録される

まとめ

  • ドバイでは2014年1月1日から医療保険加入が法的義務(DHA法第11号/2013年)である
  • 未加入期間は月額500AEDの罰金、最大150,000AED(再違反で倍額・最大500,000AED)が課される
  • EBPは月収4,000AED未満向けで年額500-700AED、年間上限150,000AEDの最低限保険である
  • 2025年1月1日導入の基本保険パッケージは年額320AEDで2年有効、1-64歳対象である
  • 2025年1月以降は保険登録が移民局システムとリアルタイム連携し、未加入ビザは自動ブロックされる
  • Insurance Market(insurancemarket.ae)は40社以上と提携し個人加入の比較プラットフォームとして有効である
  • 扶養家族(配偶者・子)も加入義務対象であり、未加入はスポンサーに罰金が課される

ドバイでの医療保険選択にあたっては、まず法的要件を理解することが出発点となります。最も安価な選択肢としてはEBPまたは年額320AEDの基本医療保険パッケージがありますが、これらは最低限の保障に留まることを認識しておくべきです。自身や家族の健康状況、利用予定の医療機関、既往症の有無など、複数の要素を総合的に検討したうえで、自分たちのニーズに適した保険を選択することが重要です。

また、2025年1月1日からの新しい統一医療保険制度により、以前のような「実務上は未加入でも可」といった運用は徐々に成立しなくなっています。そのため、保険加入を確実に行ったうえで、保険証券やポリシー番号を適切に管理し、ビザ更新時に速やかに提出できる体制を整えておくことが望ましいでしょう。医療保険に関する詳細な検討や、貴社の具体的な状況に応じた最適な保険選択についてご不明な点がある場合は、当会計事務所までお気軽にお問い合わせください。

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 このブログを書いた人

税理士・公認会計士(JCPA)・UAE公認会計士(EAAA)協会会員。日本とドバイで会計事務所を経営。現地日本企業の税務顧問先100社(上場会社含む)、会社設立実績80社以上。
ドバイ法人の会計監査や税務申告、ドバイ移住支援を行っています。

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