法人税の登録遅れがあった場合の罰金回避法

投稿:2025年11月30日更新:2025年11月30日ブログ

今この記事を読んでくださっている方の中には、ドバイに法人を設立したものの、法人税の登録期限を過ぎてしまい、10,000AED(約42万円)の罰金が発生してしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は2025年4月末、UAE連邦税務当局(FTA)は法人税登録の遅延に対する罰金免除プログラムを発表しました。この制度を活用すれば、既に罰金を支払った方でも返金を受けることが可能です。本記事では、法人税登録遅延による罰金の仕組みと、その回避・免除方法について解説します。

法人税登録の期限と罰金のルール

UAEでは2023年6月から法人税が導入され、全ての法人に対して法人税の登録が義務付けられています。登録期限については、FTA Decision No. 3 of 2024により、以下のように定められています。

区分 登録期限
2024年3月1日以降に設立された法人 設立から3か月以内
2024年3月1日以前に設立された法人 ライセンス発行月に応じた段階的期限(2024年中に終了)
自然人(フリーランサー等) 売上が100万AEDを超えた翌年の3月31日まで

期限内に登録を行わなかった場合、Cabinet Decision No. 10 of 2024に基づき、10,000AEDの行政罰金が課されます。この罰金は、フリーゾーン法人やメインランド法人の区別なく適用され、免税事業者であっても登録義務自体は免除されません。

罰金免除プログラムの概要

2025年4月29日、FTAは法人税登録遅延に対する罰金免除プログラムを発表しました。これは、新しい税制への移行期間における中小企業や新規法人を支援するための措置です。2025年11月時点で、33,900件以上の法人がこの免除プログラムの恩恵を受けています。

免除の適用条件

罰金免除を受けるための条件は以下の通りです。

①最初の課税期間終了から7か月以内に法人税申告書を提出すること

②免税事業者の場合は、最初の会計年度終了から7か月以内に年次申告(Annual Declaration)を提出すること

通常の法人税申告期限は決算日から9か月以内ですが、罰金免除の適用を受けるには7か月以内の提出が求められます。つまり、通常より2か月早い対応が必要となります。

具体的なケース別対応

状況 対応方法 結果
法人税登録済み、罰金未払い 7か月以内に申告書を提出 罰金が自動的に免除
法人税登録済み、罰金支払い済み 7か月以内に申告書を提出 EmaraTax口座に10,000AEDが自動返金
法人税未登録 登録を完了し、7か月以内に申告書を提出 罰金発生を回避

例えば、2025年12月31日が初回の課税期間終了日である法人の場合、2026年7月31日までに法人税申告書を提出すれば、登録遅延の罰金が免除されます。

罰金免除を受けるための手続き

EmaraTaxでの手続き

罰金免除の申請にあたり、特別な書類提出や申請手続きは不要です。条件を満たしていれば、FTAが自動的に罰金を免除または返金します。具体的な流れは以下の通りです。

1. 法人税登録を完了する

まだ登録が済んでいない場合は、FTAのEmaraTaxポータル([https://eservices.tax.gov.ae/](https://eservices.tax.gov.ae/))にアクセスし、法人税登録を完了させてください。登録完了後、Tax Registration Number(TRN)が発行されます。

2. 会計帳簿を整備する

法人税申告には、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した財務諸表の作成が求められます。年間売上が300万AED以下の中小企業は、現金主義会計の適用も認められています。

3. 法人税申告書を期限内に提出する

初回課税期間終了から7か月以内に、EmaraTaxを通じて法人税申告書を提出します。

4. 返金を受ける(既に支払い済みの場合)

罰金を既に支払っている場合、条件を満たせば10,000AEDがEmaraTax上の法人税口座に自動的にクレジットされます。このクレジットは、今後の納税に充当するか、別途返金申請を行うことで銀行口座への振込を受けることができます。

その他の法人税関連罰金

法人税登録の遅延罰金(10,000AED)以外にも、申告や納税の遅延に対して以下の罰金が課されます。

違反内容 罰金額
法人税申告書の提出遅延(最初の12か月間) 月額500AED
法人税申告書の提出遅延(13か月目以降) 月額1,000AED
必要書類・記録の未保管 初回10,000AED、再犯20,000AED
税務情報のアラビア語提出義務違反 5,000AED
税務監査への非協力 20,000AED

なお、2025年10月にはCabinet Decision No. 129 of 2025が発表され、2026年4月14日以降、VATや物品税の罰金体系が一部緩和されています。ただし、法人税の罰金体系については現行のまま維持されます。

自主的開示(Voluntary Disclosure)による罰金軽減

申告内容に誤りがあった場合、税務調査の前に自主的に修正申告を行うことで、罰金を軽減できる制度があります。

税務調査後に誤りが発覚した場合は、税額差額の15%の固定罰金と月額1%の延滞金が課されますが、自主的開示を行った場合は固定罰金が免除され、月額1%の延滞金のみとなります。

早期に誤りを発見し、速やかに修正申告を行うことが、罰金リスクを最小化するポイントです。

Small Business Relief(中小企業免税制度)との関係

年間売上が300万AED以下の法人は、Small Business Relief(SBR)の適用を受けることで、法人税の課税所得をゼロとして扱うことができます。ただし、SBRの適用を受ける場合でも、以下の点に注意が必要です。

法人税登録は必須:SBR適用により納税額がゼロになる場合でも、法人税の登録義務は免除されません。登録期限(設立から3か月以内)を過ぎると10,000AEDの罰金が発生します。

申告書の提出も必要:SBRを適用するには、毎年の法人税申告書においてSBRの適用を選択する必要があります。申告書を提出せずに放置すると、申告遅延の罰金(月額500〜1,000AED)が課されます。

SBR適用対象者であっても、今回の罰金免除プログラムの対象となりますので、7か月以内の申告を確実に行うことで、登録遅延の罰金を回避できます。

今後の対応スケジュール

初回課税期間が2024年1月〜12月の法人(決算日が2024年12月31日の法人)は、2025年7月31日が罰金免除の最終期限でした。

一方、決算日が2024年12月31日以外の法人については、それぞれの初回課税期間終了日から7か月後が期限となります。例えば、2025年6月30日が初回課税期間終了日の法人であれば、2026年1月31日が期限となります。

この免除制度は初回の課税期間にのみ適用されるため、2回目以降の課税期間には適用されません。今後の遅延については通常通り罰金が課されますので、毎年の申告期限(決算日から9か月以内)を厳守することが重要です。

まとめ

UAEでは法人税の登録遅延に対して10,000AEDの罰金が課されますが、初回課税期間終了から7か月以内に申告書を提出すれば、この罰金の免除または返金を受けることができます。

この免除プログラムは、UAEの税制に初めて対応する企業を支援するための一時的な措置であり、今後も継続されるかは不透明です。UAEでは制度変更が突然行われることもありますので、まだ法人税登録や申告が済んでいない方は、早急に対応されることをお勧めします。

法人税登録の手続きや申告書の作成でお困りの方、罰金免除の対象となるかご不安な方は、当会計事務所までお気軽にご相談ください。貴社の状況に即した最適な手続きをご提案させていただきます。

 このブログを書いた人

税理士・公認会計士(日本・UAE)。ドバイ在住。日本とドバイで会計事務所を経営しています。税務顧問や会計監査、ドバイへの移住支援を行っています。

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