ドバイ不動産投資において、200万AED(約7,900万円)以上の物件を購入することでゴールデンビザを取得できることは、多くの方がご存知かと思います。しかし、「オフプラン物件でもゴールデンビザは取得できるのか」「いつから申請が可能になるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
2024年1月に施行された新ルールにより、オフプラン物件でのゴールデンビザ取得は大幅に緩和されています。本記事では、オフプラン物件でゴールデンビザを取得するための条件や手続きの流れ、そして注意すべきリスクについて詳しく解説します。
オフプラン物件とは何か
オフプラン(Off-Plan)物件とは、建設中または建設前の未完成物件を指します。日本では馴染みの薄い購入方法ですが、海外では一般的な取引形態となっています。
オフプラン物件の最大の特徴は分割払いで購入できることです。たとえば、契約時に20%、1年後に20%、2年後に20%、完成時に40%というように、建設の進捗に合わせて段階的に支払いを行います。現在ドバイで売買されている不動産の約65%がオフプラン物件であり、特に非居住者にとっては現地でローンを組む必要がないことから人気を集めています。
2024年に施行された新ルールの内容
頭金100万AED要件の撤廃
2024年1月に施行された規制改正により、ゴールデンビザ取得のための最低頭金100万AED(または物件価格の50%)の要件が撤廃されました。
これまでの旧制度では、200万AED以上の物件を購入しても、住宅ローンや分割払いを利用する場合は最低100万AEDの頭金支払いが必須条件でした。この要件が撤廃されたことで、オフプラン物件を分割払いで購入する投資家にとって、ゴールデンビザ取得のハードルは大きく下がりました。
オフプラン物件での適用条件
新ルールの下では、オフプラン物件でゴールデンビザを取得するための条件は以下のとおりです。
| 要件 | 詳細 |
|---|---|
| 物件価格 | 200万AED以上 |
| 頭金 | 20%以上(デベロッパーによる) |
| DLD登録料 | 物件価格の4% |
| 必要書類 | Oqood(オクード)証明書の発行 |
物件価格200万AEDの場合、頭金40万AED(約1,580万円)とDLD登録料8万AED(約316万円)、合計約1,900万円程度の初期投資でゴールデンビザ申請が可能となります。
Oqood(オクード)とは何か
オフプラン物件でゴールデンビザを取得する上で最も重要な書類がOqood(オクード)です。
Oqoodはアラビア語で「契約」を意味し、ドバイ土地局(DLD)が発行するオフプラン物件の仮登記証明書のことを指します。完成物件における権利証書(Title Deed)に相当するもので、建設中の物件に対する購入者の権利を公的に証明する書類となります。
Oqoodの発行には通常30日から60営業日かかります。ただし、デベロッパーによって発行までの期間は大きく異なり、一部のデベロッパーではOqoodがすぐに発行されることもあります。
Oqoodが発行されていなければゴールデンビザの申請手続きを開始することができませんので、オフプラン物件を購入する際はOqood発行までのスケジュールを必ず確認してください。
工事進捗率に関する要件の変遷
オフプラン物件でのゴールデンビザ申請について、工事進捗率に関する情報は情報源によって異なる記載が見られます。
アブダビ首長国やドバイ土地局(DLD, Dubai Land Department)の一部の情報では、オフプラン物件でゴールデンビザを取得するためには工事進捗率50%以上かつ物件価格の50%以上の支払いが必要とされています。一方、ドバイでの最新の実務においては、Oqood証明書が発行され、20%の頭金とDLD登録料(4%)を支払っていれば、工事の進捗状況にかかわらずゴールデンビザの申請手続きを開始できるという報告があります。
このような状況を踏まえると、オフプラン物件でのゴールデンビザ取得を検討される方は必ず最新の要件を不動産エージェントを通じてDubai Land DepartmentやDLD Cubeに直接確認することをお勧めします。
ゴールデンビザ申請の具体的な手続き
オフプラン物件でゴールデンビザを申請する場合の手続きは以下のとおりです。
- 物件購入とOqood取得
まず200万AED以上のオフプラン物件を購入し、売買契約(SPA)に署名します。その後、頭金(通常20%)とDLD登録料(4%)を支払い、Oqood証明書の発行を待ちます。 - DLD Cubeでのオンライン申請
Oqood証明書が発行されたら、DLD Cubeのウェブサイトからオンラインで申請を行います。
住宅ローンを利用している場合は、銀行からのNOC(No Objection Certificate)が追加で必要になります。 - 審査と事前承認
申請書類の提出後、通常1週間程度で事前承認(Pre-Approval)が得られます。 - メディカルチェックとエミレーツID
事前承認後、UAE国内で健康診断を受け、エミレーツIDの発行手続きを行います。この段階でUAEに入国する必要があります。 - ゴールデンビザの発行
すべての手続きが完了すると、10年間有効のゴールデンビザが発行されます。発行までの期間は、オフプラン物件の場合で通常8週間から12週間程度です。
家族のスポンサーについて
ゴールデンビザを取得すると、配偶者、子供、両親、さらには家政婦まで
スポンサーとして帯同させることが可能です。
- 配偶者:公証済み婚姻証明書、パスポートコピー、写真
- 子供:公証済み出生証明書、パスポートコピー、写真
- 両親:続柄証明書、パスポートコピー、健康保険証
なお、子供については年齢制限がなく、未婚であれば成人の子供もスポンサー対象となります。
ゴールデンビザ取得にかかる費用
オフプラン物件でのゴールデンビザ申請から取得までにかかる費用は、健康診断やエミレーツID(10年)の取得、居住許可証(10年)DLD手数料や管理手数料、申請代行手数料も含め、概ね 22,000AED(90万円) です。家族をスポンサーする場合は1名あたり約 9,000AED(約36万円)の追加費用となります。
これはタイのエリートビザやマレーシアのMM2Hビザと比較しても驚異的に安い金額であり、そういった魅力もドバイ不動産の価格上昇を強く後押ししています。
オフプラン物件でのゴールデンビザ取得における注意点
オフプラン物件でゴールデンビザを取得する際には、以下のリスクや注意点を十分に理解しておく必要があります。
1. デベロッパーの信頼性確認
オフプラン物件購入における最大のリスクは、デベロッパーの倒産や資金難により工事が中断してしまうことです。デベロッパーが倒産した場合、払い込んだ資金が全額返金されないケースも報告されています。そのため、購入前には以下の点を必ず確認してください。
RERA登録番号の確認
ドバイで不動産販売を行うデベロッパーは、不動産規制機構(RERA)への登録が義務付けられています。
エスクロー口座の確認
2007年に施行されたエスクロー法により、オフプラン物件の購入者からの支払いはデベロッパーの一般口座ではなく、RERAが監視する専用のエスクロー口座に入金されなければなりません。エスクロー口座番号がRERAに登録されているかどうかは、支払い前に必ず確認してください。デベロッパーがエスクロー口座以外への振り込みを求めてきた場合は高確率で危険信号です。
2. Oqood発行までの期間
デベロッパーによってOqood発行までの期間は大きく異なります。実際にオフプラン物件を購入してもOqoodが発行されず、ビザ申請や銀行口座開設が遅れてしまうケースも報告されています。購入前にデベロッパーに対してOqood発行までの目安期間を必ず確認し、可能であれば過去の購入者の実績も調査することをお勧めします。
3. 物件売却時のビザへの影響
ゴールデンビザは不動産投資に紐づいた居住許可であるため、対象物件を売却するとビザの根拠がなくなり、キャンセルの対象となります。ただし、売却と同時に別の200万AED以上の物件を購入すれば、新しい物件にビザを移行することが可能です。
まとめ
2024年の制度改正により、オフプラン物件でのゴールデンビザ取得は以前と比較して大幅に容易になりました。200万AED以上の物件を購入し、Oqood証明書が発行されれば、工事完成を待たずにゴールデンビザの申請手続きを開始することが可能です。
ただし、オフプラン物件には工事遅延やデベロッパー破綻といった固有のリスクが存在します。また、ゴールデンビザの取得要件はエミレーツごとに運用が異なる場合があり、最新の情報については必ずDubai Land DepartmentやDLD Cubeに直接確認されることをお勧めします。
当会計事務所では、ドバイ不動産投資に関する税務相談をはじめ、日本側での課税関係の整理や非居住者に該当するかどうかの判定についてもご相談を承っております。オフプラン物件でのゴールデンビザ取得を検討されている方、または取得後の税務面でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
