【UAE法人税】DMTT登録期限は11月30日|日系グループのUAE子会社は1社AED1万の罰金に注意

投稿:2026年10月18日更新:2026年10月18日ブログ

ドバイ在住の日本人公認会計士・岡本信吾です。

本記事では、DMTT(国内ミニマム課税)について、DMTT登録の期限と罰金、準備の進め方を解説します。UAE連邦税務庁(FTA)は2026年10月7日、多国籍企業グループ向けトップアップ課税の対象範囲と登録のガイドを公表したと発表しました。ガイドの番号はTTGREG1で、8月26日付で発行されています。

12月決算の対象グループは、DMTT登録の期限が2026年11月30日です。10月18日時点で残りは43日しかありません。期限を過ぎると、UAEの事業体1社ごとにAED10,000(約43万円)の罰金が科されます。日本の親会社グループに属するドバイ子会社が対象かどうかを、早めに確認しておく必要があります。

DMTT登録が必要になる会社

DMTTは、OECDの第2の柱(Pillar Two)に基づき、大規模な多国籍企業グループの実効税率が15%を下回る場合に、その差額をUAEで追加して課税する制度です。UAE財務省のトップアップ課税のページのとおり、2025年1月1日以後に始まる会計年度から適用されています。根拠は閣議決定第142号(2024年)です。

判定の基準は親会社グループの連結売上です

対象になるのは、最終親会社の連結財務諸表で、直前4会計年度のうち2年度以上の連結売上が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループに属するUAEの事業体です。ドバイ子会社の売上が小さくても、日本の親会社グループがこの規模に達していれば対象になります。

一方で、UAE国内だけで事業を行うグループは、売上の規模にかかわらず対象外です。UAEは2025年8月18日に、OECDの中央記録へ「経過的に適格」な制度として掲載されています。

確認項目 内容
売上基準 直前4会計年度のうち2年度以上で連結売上7億5,000万ユーロ以上
グループの条件 最終親会社の国以外に、事業体または恒久的施設が1つ以上あること
登録する事業体 UAEの構成事業体、合弁会社とその子会社
対象外 UAE国内だけで事業を行うグループ
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登録期限は決算日で決まります

登録期限は、FTAの法令ページに掲載されたFTA決定第12号(2026年)の第2条で定められています。原則として、対象になった最初の会計年度の末日から7か月以内に申請します。ただし経過措置として、2026年4月30日より前に終わった会計年度については、2026年11月30日までに申請すれば足ります。

最初の対象年度の末日 登録期限
2025年12月31日 2026年11月30日
2026年3月31日 2026年11月30日
2026年6月30日 2027年1月31日
2026年12月31日 2027年7月31日

3月決算の日系グループも、2026年3月期が最初の対象年度であれば期限は11月30日です。7か月ルールで計算して10月末と考える必要はありませんが、残りの日数は12月決算の会社と変わりません。

登録を取り消す場合と対象外になった場合

事業体が消滅したり、グループが対象外になったりした場合は、消滅日または対象外となった会計年度の末日のいずれか早い日から6か月以内に、登録の取消しを申請します。グループが基準を満たさなくなったときはFTAへの通知が必要で、再び基準を満たしたときは、その会計年度の末日から7か月以内に通知します。

FTAガイドが明確にした登録の実務

Simmons & Simmonsの解説によると、TTGREG1は実務で迷いやすい点をいくつも明確にしました。特に次の3点は、日系グループの担当者が誤解しやすい点です。

法人税の登録とは別に申請します

DMTTの登録は、法人税(CT)の登録とは別の手続きです。すでに法人税の税務登録番号(TRN)を持っていても、EmaraTaxでDMTTの登録申請を出す必要があります。登録が済むと、事業体ごとに第2の柱のトップアップ課税用のTRNが発行されます。

追加の税額がゼロでも登録は免除されません

移行期のCbCRセーフハーバー(国別報告書を使った簡易判定)、簡易計算セーフハーバー、少額の適用除外、初期段階の軽減措置を使って追加の税額がゼロになる場合でも、登録の義務は残ります。税額が出ないから手続きも不要と考えるのは誤りです。

代表の会社がまとめて申請できます

グループは、UAEの1社を国内指定申告事業体(DDFE)に指名し、ほかのUAE事業体の登録をまとめて申請できます。ただし、DDFEは代表するすべての会社を登録しなければならず、追加の税額がゼロとみなされる会社も含まれます。

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罰金はUAEの会社1社ごとにかかります

BDOの解説によると、登録が期限に遅れた場合の罰金は事業体ごとにAED10,000です。DDFEが一部の会社の申請を出し忘れた場合も、出し忘れた会社1社ごとにAED10,000が科されます。根拠は、閣議決定第75号(2023年)の行政罰の一覧です。

UAEの事業体の数 罰金の合計 円換算(1AED=43円)
1社 AED10,000 約43万円
3社 AED30,000 約129万円
5社 AED50,000 約215万円

登録とは別に、第2の柱の情報申告書(PIR)の提出も必要です。PIRは大臣決定第133号(2026年)で定められ、指定した1社がUAEのグループ全体の分をまとめて提出できます。KPMGの解説のとおり、初回の申告は経過年度の末日から18か月以内とされ、12月決算なら2027年6月が目安です。申告まで時間があっても、登録は11月30日が期限ですので、別々の日程で管理してください。

また、6月に出た大臣決定第96号(2026年)により、DMTTの計算はOECDの2026年版のコメンタリーと運用指針に沿って行うことになりました。どのセーフハーバーを使う場合でも、登録の義務は変わりません。

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11月30日までに準備すること

EmaraTaxの申請画面では、最終親会社の情報、グループの資本関係、指定申告事業体の所在地などを入力します。日本の親会社の経理部門から資料を取り寄せる時間を考えると、10月中に準備を始めるのが現実的です。

準備する資料 主な入手先
直前4会計年度の連結売上(ユーロ換算) 日本の親会社の連結決算資料
最終親会社の名称、所在国、税務上の番号 日本の親会社
UAEの全事業体と合弁会社の一覧、持分割合 グループの資本関係図
各社の事業許可(トレードライセンス)と法人税のTRN UAEの各社
国内指定申告事業体を指名する場合はその会社の情報 UAEの代表会社

特に注意したいのは、休眠中の会社や、持分法で処理している合弁会社を一覧から漏らしてしまうことです。登録が漏れた会社にも1社ごとに罰金がかかりますので、FTAのガイドに沿って、グループのすべての会社を一つずつ確認してください。

ドバイ在住のオーナー経営者への影響

個人でドバイに移住し、小規模な法人を経営している方が、DMTTの対象になることは通常ありません。この場合は、課税所得のうちAED37万5,000(約1,612万円)を超える部分にかかる9%の法人税と、フリーゾーン法人の要件の維持に集中すれば足ります。

注意したいのは、日本の上場企業グループや大手企業グループから出資を受けている場合や、ドバイ法人を親会社グループへ売却する場合です。買い手のグループが基準を満たしていれば、取得した年度からドバイ法人も対象になり、登録の期限は7か月ルールで決まります。M&Aの契約前に、登録と申告の担当を決めておくと安心です。

また、日本の株式を持ってドバイへ移住し、その後に持株会社をドバイへ移す再編を考える場合は、国税庁が説明する国外転出時課税、いわゆる出国税と、日本のタックスヘイブン対策税制(特定外国関係会社27%、対象外国関係会社20%)もあわせて検討する必要があります。

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まとめ

📋 今回のポイント

  • FTAが10月7日に対象範囲と登録のガイドTTGREG1を公表
  • 12月決算・3月決算の対象グループは2026年11月30日が登録期限
  • 判定基準は親会社グループの連結売上7億5,000万ユーロ
  • 法人税の登録済みでもDMTTの登録が別途必要
  • 追加の税額がゼロでも登録の義務は継続
  • 遅れた場合はUAEの会社1社ごとにAED10,000の罰金

当会計事務所は、日系企業グループのDMTTの対象判定、EmaraTaxでの登録申請、国内指定申告事業体の選び方、ドバイ子会社の法人税申告をサポートしています。自社グループが対象になるか判断がつかない場合や、11月30日の期限に間に合うか不安な場合は、当会計事務所までお気軽にお問い合わせください。

根拠条文・出典

 このブログを書いた人

税理士・公認会計士(JCPA)・UAE公認会計士(EAAA)協会会員。日本とドバイで会計事務所を経営。現地日本企業の税務顧問先100社(上場会社含む)、会社設立実績80社以上。
ドバイ法人の会計監査や税務申告、ドバイ移住支援を行っています。

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