ドバイやUAEで事業を始める際やこれから移住を検討される方にとって、銀行口座の開設は必須の手続きです。ただし近年、マネーロンダリング対策が強化されたことで口座開設のハードルが上がっており、必要書類や審査基準も厳しくなっています。
そこで本日は、2025年最新の個人口座と法人口座の開設手順について、実務上のポイントを踏まえて解説します。
✅個人口座を開設する手順
個人の銀行口座は、法人口座に比べると比較的スムーズに開設できます。UAE居住者であることを証明できるエミレーツIDがあれば、申請から約3日から1週間程度で口座が開設されます。
１．必要書類
個人口座開設には以下の書類が必要です。
| 書類名 | 詳細・注意点 |
|---|---|
| パスポート | 有効期限が6ヶ月以上残っているもの |
| エミレーツID | 居住者の場合は必須 |
| 居住ビザ | コピーの提出が必要 |
| 住所証明 | 賃貸契約書や公共料金の請求書（直近3ヶ月以内） |
| 収入証明 | 給与証明書または雇用契約書 |
| 銀行推薦状 | 銀行によっては母国の銀行からの推薦状が必要 |
| 銀行取引明細書 | 過去6ヶ月分の提出を求められることもある |
２．開設の流れ
ステップ1：銀行の選定
Emirates NBD、FAB、ADIB、Mashreq Bank、RAK Bankなど主要銀行から選択
Emirates NBD、FAB、ADIB、Mashreq Bank、RAK Bankなど主要銀行から選択
ステップ2：申し込み
オンライン（モバイルアプリ）または支店窓口で申し込み
オンライン（モバイルアプリ）または支店窓口で申し込み
ステップ3：書類提出
必要書類をアップロードまたは窓口で提出
必要書類をアップロードまたは窓口で提出
ステップ4：審査
銀行側でKYC審査（3日〜1週間程度）
銀行側でKYC審査（3日〜1週間程度）
ステップ5：口座開設完了
口座番号とデビットカードが発行される
口座番号とデビットカードが発行される
ポイント
最近では多くの銀行がモバイルアプリからの口座開設に対応しており、エミレーツIDをスキャンするだけで手続きが完了する銀行も増えています。初期預金額は銀行によって異なりますが、一般的に3,000AED程度が目安です。
最近では多くの銀行がモバイルアプリからの口座開設に対応しており、エミレーツIDをスキャンするだけで手続きが完了する銀行も増えています。初期預金額は銀行によって異なりますが、一般的に3,000AED程度が目安です。
✅法人口座を開設する手順
法人口座の開設は個人口座よりも複雑で、審査に時間がかかります。個人株主の場合で通常1ヶ月程度、法人株主の場合は3ヶ月程度が一般的です。
１．必要書類
法人口座開設には以下の書類が必要になります。
- 会社のトレードライセンス
- 法人設立証明書
- 定款（Memorandum of Association）
- 株主証明書（Share Certificate）
- 取締役会決議書（Board Resolution）
- 株主および署名権者全員のパスポートとビザのコピー
- エミレーツID（全署名権者分）
- 住所証明（オフィスの賃貸契約書やEjari）
- 事業計画書（Business Plan）
- 過去6ヶ月分の銀行取引明細書
- 会社概要（Company Profile）
- UBO（最終受益者）申告書
2025年の重要な変更点
特に2025年は、KYC（顧客確認）とAML/CFT（マネーロンダリング対策）の規制が強化されており、資金源の説明や事業実態の証明がより厳格に求められています。UAEはFATF（金融活動作業部会）の強化された監視対象となっており、銀行はコンプライアンスを最優先しています。
特に2025年は、KYC（顧客確認）とAML/CFT（マネーロンダリング対策）の規制が強化されており、資金源の説明や事業実態の証明がより厳格に求められています。UAEはFATF（金融活動作業部会）の強化された監視対象となっており、銀行はコンプライアンスを最優先しています。
２．口座開設が却下される主な理由
法人口座の申請が却下される主な理由として以下が挙げられます。
| 却下理由 | 対策 |
|---|---|
| 書類の不備や不整合 | 提出前に全書類を専門家にレビューしてもらう |
| ハイリスク業種 | 暗号資産、ギャンブル、成人向けサービスなどは事前に銀行に相談 |
| UBO情報が不明確 | 最終受益者の情報を完全に開示し、証明書類を準備 |
| 事業実態が証明できない | 取引先との契約書、発注書、見積書などを用意 |
| 物理的オフィスがない | Ejari登録済みのオフィスを確保 |
| 株主や取締役に問題歴 | 金融上の問題がないことを証明する書類を準備 |
特にフリーゾーン企業の場合、適切な書類準備と説明がないと却下されやすいため、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
✅非居住者の口座開設
非居住者でもUAEで銀行口座を開設することは可能ですが、居住者に比べて条件が厳しくなります。
非居住者口座の特徴
- 通常は普通預金口座のみが開設可能
- 最低預金残高の要件が高い（25,000AED〜500,000AED程度）
- 本人確認のため必ずUAEへの渡航が必要
- オンラインのみでの完結は不可
- 一部の銀行（RAK Bank、Mashreq Bankなど）のみ対応
✅おすすめの銀行と選び方
UAEには多数の銀行がありますが、それぞれの銀行で最低預金額や手数料、サービス内容が異なります。
| 銀行名 | 特徴 | 最低預金額目安 |
|---|---|---|
| Emirates NBD | UAE最大手、ATM網が充実、法人口座開設実績豊富 | 3,000 AED〜 |
| First Abu Dhabi Bank (FAB) | 中東最大手、国際取引に強い、プレミアムサービス充実 | 5,000 AED〜 |
| Abu Dhabi Islamic Bank (ADIB) | イスラム銀行、シャリア準拠、利子なし口座 | 3,000 AED〜 |
| Mashreq Bank | 法人口座開設がスムーズ、ビジネスバンキングに強い | 10,000 AED〜 |
| RAK Bank | 非居住者口座に対応、比較的開設しやすい | 25,000 AED〜 |
法人口座の場合、Emirates NBDとMashreq Bankは実績が多く、開設がスムーズに進むケースが多いとされています。
✅審査期間と手数料の目安
| 項目 | 個人口座 | 法人口座（個人株主） | 法人口座（法人株主） |
|---|---|---|---|
| 審査期間 | 3日〜1週間 | 2週間〜1ヶ月 | 1ヶ月〜3ヶ月 |
| 初期預金額 | 3,000 AED〜 | 10,000 AED〜 | 25,000 AED〜 |
| 口座維持手数料 | 0〜50 AED/月 | 100〜300 AED/月 | 200〜500 AED/月 |
| デビットカード | 無料〜50 AED | 50〜100 AED | 50〜100 AED |
✅まとめ
UAEでの銀行口座開設は、特に法人口座の場合、準備と時間が必要です。必要書類を事前にしっかり揃え、銀行の要件を満たすことが成功の鍵となります。
また、2025年は規制強化により審査がより厳格化していますので、以下の点に特に注意が必要です。
- KYC書類の完全性と正確性
- UBO情報の明確な開示
- 事業実態の証明（契約書、取引履歴など）
- 資金源の説明と証明書類
不安な方や手続きに不備が生じたくない方は、経験豊富な専門家にご相談されることをお勧めします。
当事務所では、UAE銀行口座開設のサポートも行っております。お気軽にお問い合わせください。
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